選挙活動中の安部元総理をお手製の銃器で殺害した山上徹也の裁判がはじまっている。元総理暗殺となると、極刑もしくは無期懲役は避けられないだろうが、どうも雲行きが怪しい。国民のよくわからぬ同情票が山上徹也に集まっているのだ。
「母親が統一教会を妄信し、多額の寄付、一家は破産、そのせいで山上徹也の人生が狂った。仕方ない。かわいそう」みたいな意見だ。
もともと殺害初期は、奈良県警の警護の杜撰さが取りざたされたが、それも有耶無耶にされて、今では統一教会のせい一色になっている。この傾向はよく時代劇にある勧善懲悪ストーリーと同じで日本人にはなじみ深い。そもそも今回に限らず問題というのは常に複合的なのに、考えることが苦手な日本人は、誰か1人、もしくは団体一つくらいに的を絞らないと頭が回らない。非常に危険である。
もちろん統一教会の問題もある。だが本当の問題、山上徹也をテロリストにしてしまった最大の要因は、就職氷河期世代ゆえである。このことに誰も言及していない。当然、国家もしない。なぜなら自分たちの政治の責任に飛び火するからだ。全て統一教会のせいにして、一部に統一教会と癒着があった国会議員もいたと謝る。これで、万事、安泰。国家はSNS時代のアホな国民に集団リンチ、私刑を仕向ける。洗脳された国民は、統一教会をフルボッコにして、問題解決。政治の問題は一切、追及されない。してやったり。政治家が考えるのは、大方こんなところだろう。
安部元総理の夫人も裁判に出席しているらしいが、多分、何も言わないだろう。彼女は現在でもアメリカのトランプ大統領とも懇意にし政治とかかわりを持っているし、国家の意図を汲んでいる。「すべて統一教会のせいで」というレールに乗っていくだろう。
こうなると司法も国家の安全装置である以上、山上徹也に極刑ではなく無期懲役、もしくはもう有期刑の可能性すらある。民意を汲んで、統一教会の犠牲者として情状酌量…なんて言い出しかねない。
だが本当の問題は、氷河期世代がゆえの犯行であり、非正規雇用の促進など、政治のせいなのだ。
詳しく説明しよう。
統一教会の返金は半分の5000万円あった事実
裁判のニュースを見て驚いたが、統一教会はこの事件より10年も前に5000万円返金していたのだ。このことについては「統一教会のせい」という大前提がなくなる為か、あまり大きく報じられていない。
母親は合計で総額約1億円ほどを献金したが、2002年に破産してから親族が統一教会側と協議し、2005年から返金されていたことが検察によって示されている。
「返金は献金額の一部である合計5000万円。山上被告自身は、当時30歳だった2010年9月から2014年(月不明)まで毎月13万円を受け取っていたといいます。」
ー引用元:NEWポストセブン
山上徹也自身が統一教会への恨みがあったことは、わかる。それは人生を失敗させた敵をどこにするかという個人的な問題である。が、こうなると少し話は違ってくるのではないか。統一教会も世間がいう単純な悪魔ではなく話せばわかる団体でもあったようではないか。裁判の中でもどうにも山上徹也自身も統一教会のせいに主張を一本化している気がするが、これまた民意にあわせた裁判戦術のようにも見える。統一教会に多額の寄付をして破産した一家、統一教会に何らかの恨みを抱いている者たちが集結して山上徹也をかばう。裁判は民意を大事にする傾向にあるから、真実は二の次。国家の戦略とも合致する統一教会のせいにして、全員が逃げ切るという前代未聞の衆愚政治時代のなんちゃって裁判になる懸念すら感じる。
そもそも安部元総理を撃った最大の理由は、本当に統一教会だけが憎かったからか?
本当は氷河期世代を作った政治への恨みなのではないか?
統一教会だけが憎かったならば、何を急いで安部元総理を撃つ必要があった?もう少し待って統一教会の教祖、大幹部、それこそ施設もろとも吹き飛ばせばよかったではないか?山上徹也が結局狙ったのは国家のトップ元総理にして、当時も影響力があった安部元総理、円安進行、株価爆上げ、インフレ推進の安部元総理だ。現在の国の方針により、山上徹也はさらなる疎外感を感じたのは前回の記事に書いた。
みなが貧乏ならまだ我慢できる。だがNISA、インフレ、拝金主義の台頭で自分だけ貧乏に取り残されるのは我慢ならなかった。あるいは我慢の限界だったのではなかろうか。それならば安部元総理を撃ったことにも納得できる。
具体的に紐解いてみたい。
山上徹也は氷河期世代が生み出したテロリスト
派遣の仕事を数多く行ってきた。しかし、1年続くところもあれば、2日ほどで退職する職場もあった。銀行口座への入金履歴を見ると、職場からと思われるものが20か所ほどあったという。
事件の約1か月前である6月2日に、職場のトラブルにより派遣先を退職。その後、面接した先で採用確実かと思ったものの不採用となった。その後、7月には、採用決定の電話には出ず、元から決まっていた面接には行くもののその場で辞退するなどした。これはすでに安倍元首相への襲撃を決めていたためであった。
検察官「6月中旬に決まると思っていた仕事が決まっていたら、しばらく働いて犯行は留めていた?」
被告人「それはそうと思う」ー引用元:NEWポストセブン
原因は、まさにここだろう。働けていたなら犯行に及ばなかったと本人が言っている。私もそうだが、長らく派遣人生が続くと、こんなことばかりだ。借金もあったというが、われわれ世代では当たり前だ。このような限界状況でも、なんとか生きてきたのが、われわれ氷河期世代だ。だがもう無理だとなった。その要因は、インフレ、物価高、拝金主義、国が年金をあてにするなNISAをやれと扇動する現在の状況なのだ。
NISA?それは、もう無理なのだ。これはわれわれならわかる。デフレ脱却、失われた30年終了といっても、その恩恵はもうわれわれにはないのだ。山上徹也に限らず、借金こそあれ貯金はない、NISAなどする余裕もない、物価高で明日食べるものにまで困ってきた。デフレならまだよかったのだ。このインフレを起こしたのが、安部元総理のアベノミクスなのは今更言うまでもない。山上徹也がどこまで経済のことを知っていたかはわからないが、直感で感じ取ったのではないか。全ての元凶はアベノミクス、政治、国だ、と。
これは今でもずっと続いている。われわれ氷河期世代の派遣と争っているのは、外国人労働者だ。彼らが最低賃金で働くと、われわれは仕事すらもらえない。どんどんどんどん増えている。われわれ氷河期世代はどんどんどんどん仕事がなくなる。さらに、技能実習生だけでは足りないからと、留学生という名で国内に入れて、外国人労働者として1日6時間働かせる。留学生として東南アジアから国内の日本語学校に来ている外国人は、日本語を学ぶ気もほとんどない。働きにきていると公言しているのだ。これだけの問題がありながら、統一教会のせいで終わらせる。山上徹也が統一教会犠牲者のために犯行を犯したというなら、この問題は何も解決しないまま、どんどん促進されていく。
いずれまたどこかの氷河期世代の残党が、大事件を起こすだろう。
※秋葉原事件の加藤智大も氷河期世代、山上徹也も氷河期世代だ。
最後に、山上徹也に問いたい。
最後に:山上徹也へ
氷河期世代の同胞、山上徹也へ
統一教会憎しの勢力と国家の思惑が合致して、世論は形成された。
山上徹也に問う。
本当に、統一教会のせいだけで、お前の人生は狂ったのか?
国の経済対策、大企業の横暴について、意見はないのか?
安部元総理を撃った本当の理由は、もっと大きな問題じゃないのか?
一世一代、死刑覚悟で犯した大罪を、いちカルト教団壊滅という程度に小さくまとめられて
山上徹也よ、本当にそれでいいのか?

